今ノリにノッているアニメーション映画「この世界の片隅に」。
サウンドトラックを担当したコトリンゴさんのコンサートへ行ってきました。
映画「この世界の片隅に」の冒頭で、たんぽぽの綿毛がふわりと飛んでいく映像が流れるんですが、その時に流れている音楽(どの曲だったか忘れてしまった…)で、まだ映画の内容を何も知らないのにうるっとくるものがありました。
軽やかに踊る、はねるピアノが印象的で、ストリングスを交えた、あたたかみのあるサウンドです。壮大なのに、重苦しすぎない。
のんちゃんの声と同様、音楽もコトリさんしか考えられないと思えるマッチングの良さでした。
コトリンゴさんの音楽制作インタビューはこちらから読めます。
紫明会館の様子
ライブ会場は京都、紫明会館。北大路ビブレから徒歩10分ほど。
紫明通りは散歩道といった感じで、周りにお店はあまりないです。
紫明会館はネットの写真を見てから楽しみにしてましたが、見るからに古い外観。
木造のギシギシきしむ床は、昔の学校を思い起こされます。ノスタルジー。
写真は帰り際に撮った紫明会館。夜になると怖い。
3階の会場。座席は自由席で折りたたみ椅子が並べられています。
ステージは思いのほか小さく、アップライトピアノとチェロがどんと置いてあり、もしトリオだったら窮屈になりそう。
大きな窓が両脇にあって、日光がよく入り、客席もかなり明るいです。
整理番号が早めだったので、音響的にいい席をとれました。
しかし、楽器がアップライトピアノなのでほとんどの席から見るコトリさんが後ろ姿になってしまうという 笑。
もう少し左側に座ればよく見れたかもしれませんが、コトリさんの表情はアップライトピアノに反射してよく見えたので結果的に良しでした。
ライブの様子や感想
ピアノの裏からひょっこりとコトリさんと青弦さんが登場。
ピアノとチェロと歌。音がとてもよい。楽器の編成上、とがった音がないので、曲と会場の雰囲気とがピッタリ。木造だからか、音を程よく吸収して反射します。いい響き。
すずさんとハナウタライブでは「この世界の片隅に」からの楽曲と、自身の楽曲をおりまぜたセットリストでした。
チェロは「この世界の片隅に」のサントラで参加している徳澤青弦さん。
青弦さんはanonymass(アノニマス)というバンドで知っていたのですが、こちらもかなり好きで、特に、くるりトリビュートの「赤い電車」は原曲超えしてると思ってます。ほかには小林賢太郎の舞台音楽も担当されていたり。
演奏中はちょくちょくミスったりして、コトリさんの目配せとか不安な表情が垣間見れましたがよかったです 笑。

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劇中にはるみちゃんという女の子が出てくるのですが、その子の曲を作る時に子供っぽいイメージで曲を作ったら監督からのリテイクがあったそうです。
「はるみちゃんは子どもでも、もっと静かでおとなしい子なんだよ~」と。子どもは子どもでも、どんな子どもなのか、いろんな情報をもとに計算して曲を考えられているのですね。監督のキャラクターに込める想いの強さもよくわかりました。
「隣組」については、演奏時に「あの忌まわしき制度の…」とコメントを。
町内会よりも更に細分化された、数軒のご近所が集まって出来た「班」に等しい。
配給物資の受給・物資の供出・空襲による避難などを一つの隣組が一体となって行うための組織である。
というのは表向き(実際そうだが)で、本音は「相互監視」の意味合いが強かった。
例えば、戦争に否定的な家族が居たとしたら、それを密告して思想統制を計る等。
「結びつきと親睦を深めてお互いを監視する」ということである。
引用:隣組とは (トナリグミとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
隣組について知らなかったのですが、監視の意味合いがあったのですね。
ネガティブな内容とは裏腹に、ポップな曲は大衆に受け長く愛されたとのこと。コトリさんのおばあさんも冒頭を歌うと、続きも歌いだして覚えていたとおっしゃってました。
日が落ちて暗くなってくると、ステージの照明でコトリさんの影がうしろの壁に映し出され、自分の座席からは見にくかった腕や指の動きも雰囲気で楽しめました。
アニメ「幸福グラフィティ」のテーマ曲ではピアニカとピアノをダブルで弾く大胆な場面も。「この世界の片隅に」のライブのはずなのに、実はこの曲が一番盛り上がったのではないかというぐらいの拍手でした。ブラボー。
他には鉄琴(木琴?)や小さな箱のような打楽器などいろんな楽器を器用に演奏されてました。
口笛を使う曲(「ごはんの支度」だったかな?)では、とても不思議な音が流れていたのですが、あれはなんの音だったのかサイン会の時に話を聞いてみると、口笛用マイクが音を拾いすぎてああなってしまったとのことでした。
そういう演出かと思いましたが、いや、あれはあれで幻想的でよかったです。
以前ラジオで気になっていた曲の入ってるCDとマスキングテープを購入。
コトリンゴさんと徳澤青弦さんの演奏してる様子をみて、とても複雑で難易度の高い曲が多いなぁという印象。 さすが海外の音大出身者です。サントラではいろんな楽器のアンサンブルが世界観を作り出していて何度も聴き込める一枚です。
この先、まだカルテット編成のライブがあるようなので、「この世界の片隅に」の音楽が良かったと感じた方は足を運んでみてはどうでしょう。